絶対階級学園 【感想】

想像を絶する格差社会の中でねりが出逢う「恋」、次第に浮かび上がる学園の「真実」とはーーーー！？

<ストーリー>
2026年、日本。
東京湾を囲む「リングエリア」内の貧民地区に暮らす主人公藤枝ネリ。慎ましくも穏やかな日々を送っていたが、ある日突然、たったひとりの家族である父親が失踪してしまう。
「櫂宮学園へ行きなさい」
ーーーーー謎の手紙を残して。

私立櫂宮学園。
特権階級に属する両家の子女のみを集め、未来の日本を担うエリートの育成を目的として創立された、全寮制の名門校。

ネリは父の置き手紙に従い、セレブが集まる櫂宮学園に転入することになった。しかしそこはとてつもなく豪奢だが、絶対的な階級制度に基づく「身分差別」に支配された学園だった。

階級制度の頂点で学生を統治し、あらゆる権力を有する「女王」
全てにおいて優位に立つ、選ばれたエリートたちが属する特権階級「咲き誇る薔薇」
最も多くの生徒が所属する平民階級「名もなきミツバチ」
同じ生徒でありながら、使用人同然に虐げられ使役される奴隷階級「捨て置かれた石ころ」
そして、絶対階級制度に抵抗する生徒で組織された反体制グループ「レジスタンス」

想像を絶する格差社会の中でネリが出逢う「恋」、次第に浮き上がる学園の「真実」とはーーー！？

<総評>
煌びやかな学園生活がはじめると思いきや、入学初日から土下座を見ることから始まる、絶対階級に支配されている。ようこそ狂った学園へ。
いろんな謎がぶん投げられますが、伏線も散りばめられており、なんとなく予想が当たったりもしました。でも一番わかることは、黒幕様はまじで頭がおかしい。すべての真相を知って震え上がったのは、私だけではないはず。
専属奴隷にされたり、同級生に「次のお茶会までに死んで欲しい」と素敵な笑顔で死刑勧告されたり、人間扱いされなかったりと、トリッキーな仲間達と理不尽な差別が繰り広げられます。(あれ、これって乙女ゲーム...だよね？)
攻略対象は５人と少なめですが(私は少ない方が好き)、一人に対して8ルートあるのでお腹一杯です
。石ころ、薔薇、それぞれのハッピーエンド、バッドエンド。そして、真相エンドのハッピーエンドとバッドエンドがあります。真相に衝撃が走りましたが、金太郎飴だったのが少し残念。
基本的なバッドエンドは精神がえぐられるものがあり、特に壱波は私のトラウマに見事にランクインしました。しかし、すべてのバッドが地雷というわけでもなく、私好みの好きなバッドもあります(笑)。

<好きなキャラ順>

鷺ノ宮レイ＞五十嵐ハル＞鷹嶺陸＞加地壱波＞七瀬十矢

<キャラ別感想>
藤枝ネリ

高校2年生。貧民地区に住んでいたが、突然失踪した父の置き手紙に従って、私立櫂宮学園へ転入することになった。

近未来な日本が舞台だと思うんですが、攻略対象を差し置いて、ヒロインの名前が一番近未来なヒロイン、ネリネリ。でも名前の割には色んな色に染まれる、ある意味普通な子。(まぁ、結局普通ではないんですけど、根は普通な子)
ミツバチ階級からはじまり、そこから石ころになったり、薔薇になったりします。階級制度という見えない大きな敵に流されず、立ち向かえるのか試される！！変わらないでくれと祈りつつも、そこは良くも悪くも普通な子ネリちゃん。薔薇ルートの階級制度に支配されたネリちゃんを見ると心にくるものがありました。
薔薇ルートを行うたびに、私の中の七瀬十矢が「変わるなよ、藤枝」と念を送っていました。
良くも悪くも普通な子のネリちゃんですが、普通に見せかけておいて、実は詩人の才能があると感じました。ネリちゃんが頭の中で考える例えが秀逸でびっくりしました。
"溶けたキャラメルのような甘くてまとわりつく笑みを浮かべ"
"唇の端だけでちょっと笑った。月のない夜なのに、彼の瞳がチカリと光ったような気がした"
"あまのじゃくな気持ちがむくむくと湧いてくる"
etc...
まだまだありますが、これはほんの一部。
こんなに無害で平凡そうな雰囲気をかもしながら、こんなにも語彙力が有り余るヒロイン...。驚き。

鷹嶺陸(cv浪川大輔)

「咲き誇る薔薇」階級の3年生。
鷹嶺財閥の御曹司で、特に秀でた存在のため「赤薔薇様」と呼ばれている。自身に並々ならぬ誇りを抱き、血筋や肩書きを重視する権力者。そのため人を小馬鹿にした物言いが目立つ。

お笑い担当。何様、俺様、赤薔薇様。
本当にこの人他の人より秀でてるの？？？笑
部屋を見たときは、100年の恋も冷めるほどでしたし、テディベアに「荘厳なる沈黙」なんて名付けるし、この子はきちんと暴走しないように手綱を握らなければいけないNo.1。白薔薇様が完全に保護者。ありがとう。今まで陸が悪い人につけこまれなかったのは、白薔薇様のおかげだと思う。プライドの塊ですが、素直でちょろいのでネリちゃんが赤薔薇様を掌で転がす赤バラ姫エンド(薔薇ハッピーエンド)がわりと好きです。このエンドでなくともわりとネリちゃんが手綱を握っていますが...笑。こんな陸だからこそ、最も哀れな王子様で学園の真実を知って一番ダメージが大きいんですよね。でもそんな彼があの職業を選択し、説教たれる姿を見て、彼の成長に涙が出ます。根はいい子なんだよ。

鷺ノ宮レイ(cv木村良平)

「咲き誇る薔薇」階級の3年生。
公家の血を引く鷺ノ宮家の長男で、陸と同じく学園の中心的存在であることから「白薔薇様」と呼ばれ慕われている。
階級問わず誰にでも優しく接するが、なかなか他人に本心を明かさない。

大本命。陸の保護者。
攻略制限あるし、どんなダークホースなのかと身を構えてましたが、優しすぎる故臆病者で、白薔薇様もみんなの理想に応えるために頑張っていたレイ様。それでも私には王子なので安心しました。レイ様、白薔薇様なのに自分に自信がないのもあいまって実はヤキモチ妬きですぐにネリちゃんを囲おうとする所が好きです。あんなに優しげで優美なのに、七瀬十矢に引けを取らない良い体格をしているので、ネリちゃんとの体格差に萌えます。
レイ様ルートは壱波やハル君ほどトラウマになるエンドはではないですが、目に見えない圧倒的な大きな力(階級制度)の空気感にじわじわと首をしめられるネリちゃんが辛かったです。良くも悪くも普通な子なんだよネリちゃん...。でも「甘美な支配エンド(薔薇バッドエンド)は闇好きな私にとって最高にご褒美でした。ありがとう。
そして、レイ様について語るには欠かせない"彼"ですが、今まで苦労して耐えていたのに、あまりにも救いがなくて切なすぎる...。容赦ない。彼の憤りはわかるけれど、私はどちらかというとレイ様派なのでレイ様なりの生存戦略だったので許して欲しい(それでも彼にも救いは欲しかったですが)。そしてそして、統合したレイ様は、さらに最強です。ありがとう。

加地壱波(cv柿原徹也)

「名もなきミツバチ」の2年生。
親しみやすい性格でノリも良いが、状況や相手によって露骨に態度を変えることもある、計算高く世渡り上手な青年。女の子が大好きで、常にファンに取り巻かれている学園随一のプレイボーイであり、彼との恋に破れた女子生徒は数知れず。また、演劇部に所属し、日々演技を磨いている。

周囲に流され長いものに巻かれる、手のひらを返すのが早い世渡り上手の八方美人。お前は本当に乙ゲ攻略対象者か？うーん、苦手ネリちゃんが石ころに落ちた時の壱波の態度には、お前この野郎とはなりましたが、そこまでショックはありませんでした。それに、こんなに人目を気にするのにそれでもネリちゃんと話したいって思ってくれてるのかなぁとちょっと感動。私の頭が単純脳なのか、推しじゃないから興味がないのか(ひどい)。私的に壱波×ネリちゃんよりも、壱波×萌花のコンビが好きです。二人とも似た者同士で権力に忠実ですし、壱波に靡かず、友達として普通に接する萌花には特別気にかけているように思いました。「リヴァイアサン＝国家エンド(薔薇ハッピーエンド)ではそれが光る。ちなみに全然ハッピーエンドじゃない(笑)。壱波はバッドエンドのダメージがひどい。真相バッドエンドなんて、私の乙ゲトラウマに見事追加されたし、よりにもよって演劇の好きな壱波にとってあれは一番重いエンド。これは乙女ゲーで合ってるんだよなと何回も確認しました。それに！壱波は壱波が好きなネリちゃんが好きなんだなと。そんなの愛が足りない。もっと七瀬を見習ってほしい。

七瀬十矢(cv前野智昭)

「捨て置かれた石ころ」階級の2年生。
学園の体制に抗うレジスタンスのリーダー。不正や困っている人を見逃せない確固たる正義感の持ち主で、学園に根付いた階級制度や自分たちの存在に疑問を抱いている。薔薇階級のブレザーを勝手に着用し、学園のルールに真っ向から立ち向かう不敵な姿勢を示す。

不良野生児で暴れん坊！そして脳筋要員かと思いきや、まさかの天才頭脳型。びっくり。そしてこんなに偉そうで頼りになるのに2年生。びっくり。絶対的な階級制度の学園で、ネリちゃんがどんな立場になってもずっと変わらず接してくれる。他キャラの√でも助けてくれたりと頼りになります。精神ダメージ緩和剤。この学園では本当に貴重な存在。なぜか七瀬十矢の√だけ(私的に)ハッピーエンドが多い。真相バッドエンド以外はすべてハッピーエンドだと思っています。壱波とのギャップすごい。バッドエンドでも矢印がずっとネリちゃんに向いてるような気がするんですよね～～一途～～～！！
「薄氷の上の幸福エンド(薔薇ハッピーエンド)」の何とも言えない危うい感じが一番好き。
行動力があり、決断力があり、正義感が強くて、頭脳が良い天才型であるからこそ、そうでない人を許すということが難しい...なんて課題はありますが、他の人と比べたら些細なことですし、それ以上にスペックが高いので何の問題ないです。
ただ１つ問題なのはこんなに魅力要素溢れるのに、私のタイプではない。不思議。

五十嵐ハル(cv石川界人)

「捨て置かれた石ころ」階級の1年生。
無口でそっけなく何を考えているかわからないが、たまに口を開けばかなりの毒舌家ぶりを披露する。中性的な外見と階級も相まって、いじめの標的となり怪我が絶えない。人付き合いはほとんどないが、なにかと話しかけてくる十矢とはよく一緒にいる。

卑屈さがなく、"絶対階級"という大きな空気に支配されない。物事を見極めることができる子。だからこそ標的にされるんだと思うんですけどね。そして顔がいい。
見た目とは裏腹に男らしいところがあるので、そんなハル君を尊重し、傷つけないように振る舞うことが求められます。ある意味プライドが高い。赤バラ様のような陳腐(ひどい)な扱いやすいプライドではなく、繊細なちょっと扱いづらい性質ですかね。それが好き。
壱波の次にバッドエンドがえぐい。ハル君はいい子で好きなので、その分私のダメージも大きい...。そして圧倒的にネリちゃんが悪いので余計に辛い。ハル君は悪くない...悪くないんだよ。でも、それ以外のハピエン(石ころ、薔薇、真相全て)はまるで映画クオリティで、特に「春エンド」(真相ハピエン)はまるでハル君の歪みを知らない綺麗な精神のように綺麗すぎて、感動のあまり、全私がスタンディングオベーションしました。
そして、顔がいい(2回目)。整っているので、ネリちゃんと並んだ時のなんとも言えない公開処刑感が強くて笑いました。クリア後、壁紙集ハル君率
高いなと思っていたら公式ランキング1位なんですね！納得。